第32章 最愛
素っ気なく返す槇寿朗に宇髄は気にすることなく話し続ける。
宇「あいつが療養終えてからはうまくいってんだろ??」
槇「杏寿郎と千寿郎はな。俺のしたことがそんなにあっさり消えるわけじゃない。……これからだ。」
宇「…そーかい。」
槇寿朗の不器用なりの決意の言葉に、宇髄は揶揄うのをやめた。
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珠世から渡された鬼を人間に戻す薬を服用し、眠る禰󠄀豆子とそれを見守る鱗滝。
鱗(苦しんでいるように見える。)
鱗滝はグルルルルと苦しそうに唸る禰󠄀豆子の汗を拭いてやっていた。
鱗(お館様に協力していた珠世という鬼が寄越した薬…言われた通り使ったが…果たして禰󠄀豆子は人間に戻れるのだろうか。禰󠄀豆子が人間に戻れば無惨の目論見は奴が"青い彼岸花の娘”と呼ぶ柱だけになる。戦闘に参加しているようだが、柱であればそう簡単に捕まることはないだろう。千年以上かけて探し続けてきた完全体の夢。太陽の克服は振り出しに戻る。日光で消滅しない鬼はこの長い年月で禰󠄀豆子1人だけ。)
──ドクンドクン
──ドクンドクン
──ドクン