第31章 それぞれの闘い
祈「女性に向かってなんてことを言うんですか。」
愈「事実だろうが。」
祈「事実ではありません。」
音「祈里、私は大丈夫だから。」
珠世が少し離れたところにいるため、愈史郎を止めるものがおらず暴言を吐く愈史郎。
それにくってかかる祈里を音羽が止めに入るが、祈里は聞かない。
祈「いいえ。言葉には強い力があるのよ。例え事実でなくとも言われ続けたことはその通りになってしまう。良い意味でも悪い意味でも言葉が人に与える影響がすごく大きいの。」
祈里のまっすぐな瞳に音羽は少し間を空け、小さく微笑む。
音「…ありがとう。でも、あなたがそう言ってくれるだけで十分だから。ね、」
その表情に祈里は小さく息を吐き、愈史郎をキッ、と睨みつける。
祈「今は戦場ですし、この子もこう言ってますのでこれ以上は申しませんが、言葉の持つ力…忘れないでくださいね。」
愈「…ふんっ。」
そんな言い合いをしていたなか、周りを見張っている隊士たちは善逸に声をかけていた。