第31章 それぞれの闘い
珠世の言葉に驚いた祈里が慌てて尋ねる。
祈「では、今鬼舞辻無惨は…??」
珠「予定していた薬を吸収させることは成功しましたのでおそらくはその薬を分解するために一箇所に留まっていると思われます。」
祈里は珠世の言葉に胸を撫で下ろしながら、ある単語に注目する。
祈「"薬”…。貴方が蟲柱さまの共同研究のお相手なのですね。鬼の身体と薬学に精通した方だと聞いています。しかし、何故計画とは違う行動をとられているのですか??」
しのぶと共に過ごしていた者だとわかり、警戒心が薄れたことで祈里も音羽も日輪刀から手を離す。
珠「柱の方に頼まれたのです。まだしてほしいことがあると…」
祈「柱…どんな方でした??」
鬼に頼み事をする柱などあまり心当たりがないので尋ねる祈里。
祈里の問いかけに珠世は自分を助けた柱の姿を思い浮かべる。
珠「女性の方でした。杏の花の簪をつけ…」
──チャッ
その瞬間、珠世の頸元には日輪刀が当てられていた。
珠「っ!!」
愈「珠世様!!」
大人しく待っていた愈史郎は珠世を助け出すため慌てて動き出す。
しかし、音羽により羽交い締めにされてしまう。