第31章 それぞれの闘い
まず口を開いたのは祈里だった。
日輪刀にはまだ手をかけているが、抜いてはいない。
その警戒心バリバリの様子に青年の方がイラッ、とした様子を見せる。
しかし、女性の方が青年を制しながら一歩前に出てきた。
珠「私は珠世と申します。この子は愈史郎。おっしゃる通り、私たちは鬼です。しかし、産屋敷家と協力関係にあります。」
祈「つまり、私たちの敵ではないと??」
珠「その通りです。」
珠世、と名乗る女性の言葉に祈里と音羽はそれぞれ思考を巡らせる。
祈(特に虚言の様子は見られない。でも、鬼が鬼殺隊に協力…信じ難いわ。)
音(でも、あの愈史郎とかいう鬼が持っている紙はさっき鴉が首から下げてたものと同じみたい。まさか本当に協力関係にあるの…??)
じっ、と観察するように珠世と愈史郎を見つめる2人。
緊迫感のある中、音羽がゆっくりと口を開く。
音「…何故、愈史郎さんだけが隊服を??私たちの他の一般隊士であれば、妙な気配だと感じつつもまさか鬼だと気づく者は少なかったでしょう。珠世さんも着用した方が良いかと思いますが。」
珠「私は元々、鬼舞辻無惨を抑える役の予定でここにいる予定ではなかったのです。」