第5章 花屋敷
『正直、あのような隊士たちは何人いても同じです。…せめて、足手まといにはならないでほしいものですが…。』
目を閉じ、御影山でのことを思い出す。
鬼の頸を斬るため、刀をふるう杏の後ろにただついてくるだけの隊士たち。
隊士たちは誰一人として刀を抜いていなかった。
せめて、刀を抜いて辺りを警戒していてくれれば杏はもっと鬼に集中できていた。
先に進むたびに増えていく戦う気のない隊士たち。
彼らの安全を守りながら山をすべて見て回るのは本当に骨が折れることだった。
不「それはご苦労さんだったなァ。」
スッと不死川の腕が杏の方へ伸びる。
──ポンポン
自身の頭に置かれた不死川の手に思わず目を見開く杏。
『…なんですか。』
ジトッと不死川を見る杏。
しかし、頭の上に置かれた手を振り払う様子はない。
不「いいやァ??
お疲れの桜柱様を労ってやろうと思ってなァ。」
『……。』
大人しく撫でられる杏の頭をさらにわしゃわしゃと撫でる不死川。
『ちょっと!!そんなにしたら髪が乱れます!!』