第5章 花屋敷
不「じゃあ、なんで…。」
『…柱合会議のとき、私は何も言いませんでしたが不死川さんの意見に賛成です。』
茶碗に手を触れながらため息混じりに話す杏。
不「…他の隊士もいたって言ってたなァ。」
杏の様子に状況を察したかのようにはぁ、と大きくため息をつく不死川。
『本当に、近頃の隊士の質は落ち過ぎだと思いました。私が彼らを見つけたとき、鬼を目の前にして震えて座り込んでいたんです。
……日輪刀も抜かずに。』
正直、御影山での任務は酷いものだった。
誰かに話して少し気持ちを落ち着けたくなり、杏は任務のことを話し始めた。
『私が来たとわかった途端、ほとんどの隊士が緊張をときました。柱が来て安心するのは分かるのですが、“後は柱がやってくれる”というような顔をしてましたね。』
不「何人の隊士がいたんだァ。」
不死川もそのような経験はあったのだろう。
顔をしかめながらも杏の話に耳を傾ける。
『10人です。鬼は15匹。
まだ1匹も倒されていませんでした。』
不「15の鬼を1人に丸投げか。
………情けねぇな。」