第29章 妹の想い
童「随分と辛辣だなぁ。」
『そんなことないですよ。被害妄想じゃないですか??』
童「そんなぁー。」
笑顔の杏と哀しげな顔の童磨の激しい口撃。
その後ろで…────────
カ「師範、はやく止血を…!!」
カナヲはしのぶに止血するよう呼びかけながら杏から受け取った薬を使うための準備を進める。
しかし、しのぶは薬を持つカナヲの右手に触れ、動きを止める。
し「駄目です…。
その薬を私で使うわけにはいきません。」
カ「でも、師範っ…、」
しのぶはカナヲの声を遮り、立ちあがろうとする。
し「っ、」
しかし、多量の出血のせいで立ちくらみを起こし、再びしゃがみ込む。
カ「師範っ、」
し「言ったでしょう??私はここであいつに喰われないといけない。あいつには私の日輪刀は効かない。この程度の毒の量ではすぐに分解されてしまう。私自身を毒としてあいつに摂らせないと…。」
全然話を聞いてくれないしのぶ。
話している最中も童磨を睨みつけており、カナヲの方など見てくれない。
カ(どうしよう、どうしよう、どうしよう…。
私は、どうしたら…)