第29章 妹の想い
杏は2人に背を向けて童磨を睨み付ける。
『出血死を防ぐためのものです。私たちが生き残るために。腕や足の損傷も予想できましたから。』
杏は日輪刀を抜き、構える。
『使い方はお2人なら分かるはずです。その間の時間稼ぎは私がします。カナヲちゃん、お願いね。』
し「杏さん…!!待って…!!」
しのぶをカナヲに託した瞬間、童磨に向かって走り出してしまった杏をしのぶは止めようとするが、杏は止まらない。
『お久しぶりですね、童磨。』
童「杏ちゃん!!どうしてさっきは無視したんだい??悲しくなっちゃったじゃないか。」
杏は童磨の間合いの少し手前で立ち止まり、穏やかに話しかける。
『それはすみませんでした。ですけれど、貴方の声とても不快なので聞きたくないんです。黙っててくれません??』
ニコッ、と微笑みながら言う杏に童磨はえー、と声を上げる。
童「えー。ひどいよ、杏ちゃん。どうしてそんなこと言うんだい??」
『あら、もしかしてその耳は飾りなんですか??それとも脳味噌がおかしいんですか??私、前にも言いましたよね。虫唾が走るから名前呼ばないでくださいって。』