第29章 妹の想い
カ「師範!!」
カナヲはその姿に慌てて駆け寄る。
童「ありゃー、やられちゃったなぁ。杏ちゃんそんな技まで使えたなんて知らなかったなぁ。」
血鬼術の氷を使い、童磨も地面に降りる。
『カナヲちゃん。しのぶさんのことお願いしますね。』
カ「え??」
童「あれ??もしかして俺のこと無視してる??」
杏は童磨を無視し、駆け寄ってきたカナヲにしのぶを託す。
驚いている様子のカナヲに微笑む。
『言ったでしょう??私にはできないの。
貴方にしかできないの。』
カ「っ!!」
杏の言葉に何かに気づいたカナヲ。
『しのぶさん。出血が酷いのでとりあえず止血してください。カナヲちゃんはしのぶさんの止血ができたら、これを使ってください。』
杏は2人に伝えなければいけないことを端的に話す。
腰に付けていた小さな鞄をカナヲに手渡す。
カ「これは…??」
手渡された鞄にカナヲは首を傾げる。
『私たちが生き残るための"奥の手”
…──アオイちゃんにお願いしてこっそり作ってもらった"造血剤”です。』
し.カ「「っ!?」」
杏の言葉に目を見開く2人。
し「…あのときの風呂敷??」
しかし、しのぶは甘露寺邸でのお茶会の帰りに杏に渡した風呂敷のことを思い出した。