第29章 妹の想い
そのとき、辺りに鴉の声が響いた。
サ「蟲柱発見!!蟲柱発見!!」
そのサクラの声に杏もカナヲも飛んでくるサクラを見上げる。
杏はすぐにサクラに状況を尋ねる。
『サクラ!!しのぶさんはどこ??状況は??』
サ「上弦ノ弐ト遭遇!!1人デ戦闘中ヨ!!」
サクラの報告にカナヲの顔色が悪くなる。
『っ、急いで案内をお願い!!』
サ「エェ!!」
杏はすぐにサクラに指示を出し、走り出す。
『カナヲちゃん行きますよ!!』
カ「は、はいっ!!」
少し後ろを走るカナヲを確認し、杏は五感を研ぎ澄まして辺りの状況を探る。
杏(こんなにも早く上弦の鬼との戦闘が始まるなんて…。急がないと…!!)
歯を食いしばりながらそう考えていたとき、杏の鼻腔を強い血の匂いと藤の花の匂いが掠めた。
杏(すごい血の匂い…!!しかもその中に微かに藤の花の匂いも混じってる…。そしてこの不快な気配は……童磨!!)
それと同時にサクラが声を上げる。
サ「モウスグヨ!!」
『えぇ!!ここからはわかるわ!!ありがとうサクラ!!カナヲちゃん速度上げますよ!!』