第29章 妹の想い
杏は柱稽古の際にしのぶと話した時のことを思い出す。
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し「私だけの力では上弦ノ鬼は倒せない。
やはり確実なのは頸の切断です。私はそれをカナヲにやってもらいたいと思っています。」
『カナヲちゃんに…。』
し「はい。あの子には折を見てこのことを伝えるつもりです。最近のあの子は自分の気持ちを素直に言えるようになりました。
私がいなくても、もう大丈夫です。」
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『カナヲちゃん。私もしのぶさんの考えていることを知っています。』
カ「え…??」
杏がしのぶが死のうとしていることを知っている、その突然の事実にカナヲは思考が止まる。
『カナヲちゃん。あなたはどうしたい??』
カ「わ、私は……。」
カ(私は…どうしたい…??助け…師範を…でも…。)
自分の覚悟を打ち明けたときのしのぶを思い起こすカナヲの額に大量の汗が流れ始める。
そのカナヲの様子に杏はカナヲの肩にそっ、と触れ、その瞳をまっすぐに見つめる。