第29章 妹の想い
近くの鬼を斬り続けていた杏は襖を挟んで隣の空間に鬼ではない気配を感じ取った。
杏(この気配は…人!!)
最後の1体を斬り捨て、勢いよく襖を開けるとそこには息を切らしたカナヲの姿があった。
『カナヲちゃん…!!よかった…無事だったのですね。』
そう言いながらも杏は思考を巡らす。
杏(招集された柱以外の隊士は柱稽古を行っていたはず。カナヲちゃんがここにいるということは鬼殺隊士が全員この空間に落とされたと見て良さそ…)
カ「桜柱さま!!」
杏の顔を見るなり、肩を掴んできたカナヲに杏は思わず思考を止めてしまうほどに驚いた。
『カナヲちゃん…??そんなに慌てて…何があったんですか??』
カ「桜柱さま!!師範を…師範を見ませんでしたか!?」
未だかつて見たことのないカナヲの焦っている姿。
『いえ…まだ見てないです。あなたがここで初めて合流できた隊士ですよ。』
カ「そ、そうですか…。」
杏(こんなに慌ててるカナヲちゃんは初めて見る…。一体何が…)
カナヲの珍しい様子に首を傾げるが、あることを思い出した。
杏(──あ、そうか。…カナヲちゃんもあのことを知ってるのね。)