第28章 対峙
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カ「しのぶ…鬼殺隊を辞めなさい。」
そんなカナエは最期の力で右手を上げしのぶの頬に添える。
カ「あなたは頑張っているけれど本当に頑張っているけれど、多分しのぶは…、……。」
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し(姉さんがあの時、言おうとした言葉を私は知ってる。)
涙がじわりと滲む。
し(”多分しのぶは、あの鬼に負ける”
そう言おうとしてやめてくれたんだよね。)
涙が瞳から溢れそうになったそのとき、凛とした高めの声が響いた。
── カ「しっかりしなさい。泣くことは許しません。」
し(姉さん…。)
その声の主が姉であると気がついたしのぶの溢れそうになった涙が止まった。
── カ「立ちなさい。」
生前には見せなかった厳しい姉の声。
しかし、夥しいほどに出血しているしのぶは立つことができない。
し(立てない。出血で…。左の肺もざっくり斬られて息もできないの。)
── カ「関係ありません。立ちなさい。
蟲柱 胡蝶しのぶ。」
し(……!!)