第28章 対峙
─バッ
し(斬ら…れた…!!)
しのぶはドッ、と膝をつく。
一瞬だった。
しのぶが突き技を放ったあの瞬間に童磨もしのぶを斬っていた。
左胸から右腹部にかけて斬られ、血が吹き出る。
童「毒じゃなく頸を斬れたら良かったのにね。
それだけ速かったら勝てたかも。」
蹲るしのぶの背後から童磨は平然とした様子で話しかける。
そして、さらに追い打ちをかけるかのようにアハハと笑う。
童「あーー無理かぁ。君小さいから。」
その童磨の言葉にしのぶはボタボタと血が落ちる自身の手を見つめる。
し(なんで私の手はこんなに小さいのかなぁ。
なんでもっと身長が伸びなかったのかなぁ。
あとほんの少しでも身体が大きかったら鬼の頸を斬って倒せたのかなぁ。)
どんどんと溢れてくる胸の奥に隠してきた弱音。
し(手が、足が、長ければ長いだけ筋肉の量も多いわけだから有利なのに。)
しのぶの脳裏に憧れる人たちの姿が浮かび上がる。
し(姉さんは華奢だったけど私より上背があった。悲鳴嶼さんいいなぁ。あの人が助けに来てくれたら皆安心するよね。)
さらに姉カナエの最期を思い起こす。