第28章 対峙
し(上弦にこの毒が通用するかどうか今わかる。)
鬼の頸を斬れないしのぶにとっての唯一の武器である毒が通用するのかがついにわかる。
その緊張から一筋の汗が額を伝う。
し(姉さん…。お願い…姉さん。)
亡き姉に祈りながら苦しむ童磨を見つめる。
あまりの苦しさに手をつき、うずくまる童磨。
童「ガハッ、」
ビシャア、と大量の血を吐く。
童「これは…累君の山で使った毒より強力だね。」
し(やはり情報は共有されていた…。
毒は諸刃の剣。)
童磨の呟きににしのぶは顔を歪める。
童「調合を…鬼ごとに変えてるとあの方も仰ってたなぁ…。」
苦しみながらも話し続ける童磨。
童「ゲホッ、グッ…」
そして突然静かになったかと思うと、ゆっくりと顔を上げた。
童「あれぇ??毒、分解できちゃったみたいだなあ。ごめんねえ。せっかく使ってくれたのに。」
その顔は左目が充血し、血管が浮き出し、吐血により汚れていたが、笑みを浮かべていた。
上弦に毒が効かなかった、この事実にしのぶは眉を顰める。
童「その刀。鞘にしまう時の音が特殊だね。
そこで毒の調合を変えているのかな??」