第28章 対峙
しかし、そんなしのぶの様子も意に介さず、童磨は飄々とした態度でしのぶの羽織を見る。
童「ん??」
そして、童磨の脳裏にしのぶと同じ羽織を纏った美しい長い黒髪で左右に蝶の髪飾りをつけた見目麗しい鬼殺隊士の姿が蘇る。
童「ん?ああ!花の呼吸を使ってた女の子かな??優しくて可愛い子だったなあ。朝日が昇って喰べ損ねた子だよ。覚えてる。ちゃんと喰べてあげたかっ…た。」
─ズッ
童磨が最後まで言い終える前に怒りの頂点に達したしのぶが突きを放つ。
ー 蟲の呼吸 蜂牙ノ舞 真靡き ー
童「おっと、」
童磨は右手で止めようとしたが、しのぶの突きがそれより速く童磨の”上弦”と刻まれた左目を貫く。
童「凄い突きだね。手で止められなかった。」
ー 血鬼術 蓮葉氷 ー
童磨もすぐに血気術を放つ。
蓮の形をした氷がしのぶに襲いかかる。
しのぶはそれを避けるのにバク転をした際に杏から聞いた童磨の血鬼術についてのこと思い出した。
”『奴の攻撃には全てに冷気が纏っています。
それを吸えば最後、肺胞が壊死し、呼吸することすら厳しくなります。なので奴と対峙した際にはある程度の距離は常にとったほうがいいです。』”