第28章 対峙
しのぶの鋭い視線と言葉にも童磨は平然と答える。
童「その子はもう苦しくないしつらくもない。怯えることもない。誰もが皆死ぬのを怖がるから。だから俺が"喰べてあげてる”。俺と共に生きていくんだ。永遠の時を。俺は信者たちの想いを、血を、肉を、しっかりと受け止めて救済して高みへと導いている。」
右手を胸に添えながらまるで諭すかように自らの救済理念を話す童磨。
その異常な救済理念にしのぶの顔から完全に笑顔が消えた。
し「正気とは思えませんね。貴方頭大丈夫ですか。
本当に吐き気がする。」
童「えーっ。初対面なのに随分刺々しいなぁ。
あっ、そうか。」
先ほどまで女性に向けていた表情と言葉とは明らかに違うしのぶに童磨は驚いたような表情を浮かべるが、何かに気がついたのか、優しげな笑顔を浮かべる。
童「可哀想に何か辛いことがあったんだね…。
聞いてあげよう話してごらん。」
その言葉にしのぶは完全に怒りを露わにし、自身の羽織を掴みながら童磨を問いただす。
し「つらいも何もあるものか!!私の姉を殺したのはお前だな??この羽織に見覚えはないか!!」
額と羽織を掴む手には血管が浮かび上がり、歯が軋むほどに噛み締めるしのぶ。