第28章 対峙
そのとき、既に全員息絶えていると思っていた女性たちの中から1人の女性がしのぶに救いを求めるため手を伸ばした。
「た…たす、助けて…助けて…!!」
その女性に対して童磨はまるで言うことを聞かない幼子を嗜めるかのように声をかける。
童「しーー!今話してるだろうに…。」
─ヒュガッ
さらに、なんらかの技を出したことで辺りに氷を纏った鋭い風が吹く。
─トッ
しかし、柱の中でも上位の速さを持つしのぶが見逃すはずもなく、助けを求める女性を抱いて軽やかに着地する。
し「大丈夫ですか??」
いつもの優しい笑顔を女性に向けるしのぶ。
童「わぁ!!速いねぇ。柱なのかな??」
童磨は女性が目の前から消えたことに一瞬呆けていたが、すぐにしのぶと女性の方を向き、笑顔を浮かべて楽しそうにしのぶに話しかける。
「はっ…はっ……ゴフッ、」
その言葉を無視するしのぶの腕の中にいた女性は目を見開いたまましのぶを見ていたが、浅い呼吸を繰り返したかと思うと突然、血を吐いた。
切り刻まれ、ドシャと腕から落ちてしまった女性にしのぶは目を見開く。