第28章 対峙
し(血の匂いがする。ここは何処??)
蟲柱─胡蝶しのぶも無限城の中を彷徨っていた。
そのなかで一際強い血の匂いのする部屋へと続く鉄の襖に手をかける。
─カタ…
ゆっくりと襖を引き、中を覗く。
─ボリボリボリッボリボリボリッ
何かを砕くような音が響き渡る部屋。
至る所に橋が渡っている池が広がった部屋。
血だらけで息絶え、横たわっている沢山の女性たち。
その中心でこちらに背を向けている男の姿が見えた。
「ん??」
その男は気配に気がついたのかぐるり、とこちらに振り返る。
「あれぇ来たの??わぁ女の子だね!!若くて美味しそうだなぁ。後で鳴女ちゃんにありがとうって言わなくちゃ。」
その男の瞳には、左に"上弦”、右に"弐”という数字が刻まれていた。
し(こいつが…上弦ノ、弐。)
しのぶの脳裏には最愛の姉、カナエの最期が蘇っていた。
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口から血を吐き、既に致命傷を負っているカナエ。
カ「しのぶ…鬼殺隊を辞めなさい。」
そんなカナエは最期の力で右手を上げしのぶの頬に添える。