第5章 花屋敷
『サクラかしら??』
庭の方からする声を聞き、手を拭き庭の方へ向かう。
庭に面した縁側にはサクラではない、見覚えのある一羽の鴉がとまっていた。
『あら、不死川さんの鎹鴉ですね。
お久しぶりです。』
鴉の正面に座り、挨拶をする。
鴉も杏の方をしっかり見てペコリと頭を下げた。
「実弥!!モウスグ来ル!!」
どうやら、昨日の言葉通り鴉を飛ばしてくれたようだ。
『承知しました。
わざわざありがとうございます。』
鴉にニコリと微笑み頭を撫でる。
すると、嬉しそうにバサバサと羽を広げる。
そんな鴉にふふ、という笑い声をもらす。
──ガラッ
不「邪魔するぞォ。」
『いらしたわね。』
戸が開く音と不死川の声がしたため玄関に向かう。
『不死川さん、おはようございます。
ようこそ。』
不「ああ、おはよう。」
玄関につき、挨拶を交わす2人。
『さ、こちらへどうぞ。』
不死川に草履を脱ぐよう促し、廊下を歩いてゆく。
『今日はどの間になさいますか??
今の時期でしたら春の間がオススメですよ。』
不「じゃあ、春の間…。」
『かしこまりました。』