第5章 花屋敷
──ガラッ
廊下を曲がり、4つある扉のうち右奥の襖を開ける。
杏の屋敷にはとても大きな客間がある。
そんな大きな客間を春の間・夏の間・秋の間・冬の間の4つに分け、それぞれの間に小さいが立派な春の庭・夏の庭・秋の庭・冬の庭がつくられている。
春の庭は杏の花がメイン
夏の庭は百合の花がメイン
秋の庭は紅葉がメイン
冬の間は椿の花がメインの庭だ。
庭にある特別で大きな桜の木、表に咲いている色とりどりのたくさんの花たち、そして、この客間の4つの庭。
これらのことから、杏の屋敷は『花屋敷』と呼ばれている。
『どうぞ。』
不「あぁ。」
『では、お茶持ってきますね。
もちろんおはぎも。』
ふふっといたずらっ子のような笑顔を浮かべながら部屋を出る杏。
──カチャカチャ
お盆の上でぶつかり合う食器たち。
『不死川さんはお抹茶は大丈夫ですか??』
不「大丈夫だァ。」
『では、点てますので庭でも見ててください。』
お盆の上におはぎと茶碗、不死川の鴉のための胡桃を置き戻ってきた杏。
そのままの流れで抹茶を点てはじめる。
『どうぞ。』