第28章 対峙
走って鬼の気配のする方へ向かっていると、正面の奥の方に黒い塊が飛んでいるのが見えた。
これで状況が少しはわかるはず、と杏は笑みを浮かべる。
杏(あれは…鎹鴉!!しかも…)
さらに、誰の鎹鴉か特定することができた杏は軽く手を上げてその鴉を呼んだ。
『サクラ!!』
その杏の呼びかけにより、向かってきている隊士が杏だと気がついたサクラは勢いよく杏の胸に飛び込んだ。
サ「杏!!良カッタ!!無事ダッタノネ!!」
『えぇ。少し頬を怪我したけれど無事よ。
勿論、お館様もね。』
お館様を助ける作戦について知っており、涙を流すサクラを優しく撫でる。
サ「アラ??アナタ羽織ハドウシタノ??」
杏が羽織を纏っておらず、袖がひらひらとした隊服姿なことに気がついたサクラは涙を止めながら首を傾げる。
『お館様にお預けしたの。サクラ、近くに鬼殺隊士がいないか探してくれる??あと…できたらしのぶさんを探してちょうだい。心配なの。』
サ「ワカッタワ。」
サクラの涙が止まったことを確認してからサクラに頼み事をする。
コクン、と頷いたサクラは杏の腕の中から飛び立つ。