第28章 対峙
時(杏さん…。)
大好きな姉のような存在である杏の笑顔を思い返しながら再び問いかける。
悲「…そうだ。余命幾許もなかったために……。
音白の説得がなければあのまま逝かれていた。」
時(お館様…。)
悲鳴嶼の言葉に時透はお館様を想う。
時「…お館様は僕が鬼に襲われて生死の境をさ迷っていた時ずっと励ましてくださった。今際の際の隊士たちには同じくそうしていた…。父のように。」
悲「あぁ、知っている。」
時透は瞳に涙を溢れさせながら怒気を含んだ声を発した。
時「無惨は兄だけでなく僕たちの父まで…姉まで奪おうとした。あいつ…無惨…!!嬲り殺しにしてやる。地獄を見せてやる。」
悲「安心しろ…。皆同じ思いだ。」
悲鳴嶼も重い重い怒気を放っていた。
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──同時刻、不死川はある場所で正座していた。
不(お館様…守れなかった……のか…??)
お館様の無事を知らない不死川は己を責めていた。
不(音白は悲鳴嶼さんといた。
何か知っているんだろう。ずっと前から。
気づかなかった。今は無事なのか。)