第27章 無限城戦 開戦
漸く辿り着いた杏は宇髄に倒れ込む。
『おや、かたさまと…あまね様を…。』
絞り出すように呟く。
宇「あぁ!!」
宇髄は勢いよくそう返事をすると杏が抱えていたお2人を順番に地面へと下ろす。
煉「音白、とりあえず水を飲め。
炎で喉が焼けただろう。」
『あり、がとう、ございます…。』
水の入った瓢箪を差し出してくれた煉獄にお礼を言う。
喉を潤した杏はひなき様とにちか様の安否を確認する。
『ひなき様とにちか様は…。』
煉「お2人ともご無事だ。
君の作戦通りだよ。」
『よかった…。』
お2人の無事を確認し、杏も微笑む。
宇「お館様とあまね様もご無事だ。
多少の火傷や切り傷はあるが、大丈夫だろう。」
『そうですか…。』
宇「少し疲れただろうから今は少し休んで頂いてる。音白は…もう行くのか??」
宇髄からの問いかけに杏は迷うことなく頷く。
『はい。他の皆さんが来られるまで悲鳴嶼さんは鬼舞辻無惨に1人で対峙していますから。』
煉「では、せめてその頬の傷だけでも手当てしていけ。この闘いは長くなるだろうから。」
『ありがとうございます。』
煉獄の言葉に素直に頷き、大人しく手当てを受ける。
手当を受ける杏に宇髄が小さめの鞄を渡す。
宇「音白。預かってたやつだ。」
『ありがとうございます。』