第27章 無限城戦 開戦
『近くに貴方の仲間がいます。柱たちが来る前に早くここから離れてください。』
悲鳴嶼が鬼舞辻無惨と対峙しており、杏もそちらに参戦するために珠世に背を向ける。
珠(…!!鬼である私に背を………。)
鬼に背を向けることの危険さは柱である杏ならわかっているはず。
それでも杏は今、鬼である珠世に背を向けて立っている。
珠「…わかりました。任せてください。」
そう言って頷いた珠世は近くに落ちていたお札を額に貼り、姿を消した。
それを確認した杏は悲鳴嶼の隣に並ぶ。
『すみません、お待たせしました。』
悲「……うまくいったようだな。」
『はい。皆様ご無事です。』
悲鳴嶼からの問いかけに杏は微笑みながら頷いた。
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それは産屋敷邸が爆発する少し前のこと──
杏は鬼舞辻無惨がお館様の話に気を取られている姿をじっ、と見つめていた。
チラリ、と庭の方へと視線を移す。
そこには、紙風船で数え歌を歌いながら遊んでいたひなき様とにちか様の姿はなかった。
杏(…宇髄さん流石です。
あとは……私次第。)