第5章 花屋敷
飛んでゆくサクラを見ながら、軽く手を振る。
『さて、と。ささっと掃除しちゃいましょうか。』
料理のときに身につけていたエプロンを再び身につけ、掃除をしていく。
1人で住むには大きすぎる屋敷なため正直、1人で掃除するのは大変だが、どんどんキレイになってゆくのを見るのは大好きだった。
『とりあえず、こんなところかしら。』
ふぅ、と息を吐き玄関へ向かう。
玄関を開けると、扉から門にかけてたくさんの花たちが咲いている。
『おはよう、みんな。
今日も元気そうで良かったわ。』
花たちに触れながら声をかけていき、優しく水をかけていく。
『今日はお客様がいらっしゃるからしっかりお出迎えしてあげてね。』
最後に優しく微笑みながら声をかけ、屋敷に戻る。
そのまま台所に向かい、おはぎを作っていく。
杏は料理はそこまで得意ではない。
苦手というほどでもないが、特別得意というわけではないといった感じだ。
しかし、お菓子だけは違う。
杏はお菓子を作ったり、食べたりする時間が1番好きだ。
よくわからないがもっと触れていたいし、匂いを嗅いでいたいし、食べていたいと思う。