第26章 人の想い
『………姉さんたちは、そんないい加減な理由で死ななければならなかったの…??』
ボソリ、と小さく呟く。
お「杏。」
『お館様…。』
お館様に呼ばれたことで杏は顔を上げる。
お館様の微笑みを見た杏はふぅ、と息を吐き、再び殺気を隠す。
姿勢を正すと、真っ直ぐにお館様を見つめる。
お館様はそんな杏の様子に優しく頷き、鬼舞辻無惨へと向き直る。
1つ言い忘れていた事を思い出したお館様は再び口を開いた。
お「無惨…。最期に、ひとつだけいいかい??私自身はそれほど重要でないと言ったが…私の死が無意味なわけではない。私は幸運なことに鬼殺隊…特に柱の子達から慕ってもらっている。つまり、私が死ねば今まで以上に鬼殺隊の士気が上がる…。」
鬼「話は終わりだな??」
鬼舞辻無惨はお館様へ手を伸ばす。
今にも殺されそうだというのに、お館様はいつものように穏やかに微笑んでいる。
お「あぁ…。こんなに話を聞いてくれるとは思わなかったな……。ありがとう無惨。」
杏はただそれをじっ、と見つめていた。
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