第26章 人の想い
鬼「……。」
お「この千年間…君は一体…どんな夢を見ているのかな…。」
お館様にそう問いかけられた鬼舞辻無惨は不思議な感覚に囚われていた。
鬼(……奇妙な感覚だ。あれほど目障りだった鬼殺隊の元凶を目の前にして、憎しみが湧かない…。むしろ…。)
そんな鬼舞辻無惨の耳に聞こえる子供の声。
ひ.に「「ひとつとや 一夜明くれば 賑やかで賑やかで お飾り立てたり 松飾り松飾り
ふたつとや 二葉の松は 色ようて色ようて 三蓋松まは上総山上総山」」
庭で紙風船で遊ぶ白い髪のおかっぱ頭の2人の少女。
鬼(……この奇妙な懐かしさ。安堵感…。気色が悪い。そしてこの屋敷には4人しか人間がいない産屋敷と妻、子供2人だけ。護衛も何もない…。)
そう考えている無惨の耳にお館様の声が聞こえてきた。
お「当てようか…無惨…。」
──ピクッ
先刻までは一切反応を見せなかった鬼舞辻無惨の様子が変わる。
お「君の心が私には分かるよ。君は永遠を夢見ている…不滅を夢見ている…。」
鬼「……その通りだ。そしてそれは間も無く叶う。
禰豆子か"青い彼岸花の娘”を手にさえすれば…。」