第26章 人の想い
鬼「私は心底興醒めしたよ、産屋敷。身の程を弁えず千年にも渡り、私の邪魔ばかりしてきた一族の長がこのようなザマで。醜い、何とも醜い。お前からは既に屍の匂いがするぞ、産屋敷よ。」
そんな鬼舞辻無惨の言葉を聞いたお館様は病により蝕まれる体をゆっくりと起こし始めた。
お「そうだろうね…私は……半年も前には…医者から…数日で死ぬと言われていた…。それでもまだ…私は生きている……医者も…言葉を失っていた…。」
無理に体を起こすせいでお館様自身の口や目からポタポタと血が滴り落ちる。
そんな彼に手を差し伸べ、起こすのを手助けするあまね様。
お館様はあまね様に支えられながら言葉を続けた。
お「それもひとえに…君を倒したいという一心ゆえだ…無惨…。」
そんなお館様に対し、淡々とした口調で鬼舞辻無惨は答えた。
鬼「その儚い夢も今宵潰えたな。
お前はこれから私が殺す。」
そんな鬼舞辻無惨へ、お館様はあることを告げた。
お「君は…知らないかもしれないが…君と私は…同じ血筋なんだよ…。君が生まれたのは千年以上前のことだろうから…私と君の血はもう…近くないけれど…。」