第26章 人の想い
不「なんだァ??」
何事か、と不死川が門を開けると、そこには黒の詰襟を羽織っていない隊服姿の祈里と音羽が涙目で騒いでいた。
不「おィ、どうしたァ!!」
2人のただならない様子に不死川は大きな声をあげる。
祈.音「「風柱さま!!」」
不死川の声を聞いた2人は弾かれるように振り向き、不死川の元へと走る。
不「おィ、本当にどうしたんだァ。」
2人の勢いに不死川も眉をひそめる。
祈「あ、杏さまがっ…!!」
音「いないんですっ…!!
屋敷のどこにも…!!」
不「……どういうことだァ??」
2人の叫びに不死川は静かに問いかける。
祈「きょ、今日は警備に同行してほしいから湯浴みをして隊服に着替えるよう言われていたのです…!!」
音「大急ぎで終えて出てきてみたら杏さまもサクラもいなくてっ…!!そ、それでこの置き手紙が杏さまの書斎に…!!」
祈里も音羽も涙が溢れないよう必死で抑えながら杏の書斎に置かれていた置き手紙を不死川に渡す。
音羽から渡された手紙に目を通すと、不死川はゆっくりと口を開いた。
不「……花柳、佐々木。」
祈.音「「は、はいっ!!」」