第26章 人の想い
隣で水浴びしているサクラに話しかける。
『私………頑張ったわよね??』
サ「…エェ。ヨク頑張ッタワ。」
サクラのその言葉を聞いて杏は真っ赤に染まる頬を抑えることもせず、にっこりと微笑んだ。
『ありがとう、サクラ。』
サ「何ヨ、急ニ。」
突然お礼を言う杏にサクラは怪訝そうな視線を向ける。
『言わないだけでいつも思ってるわ。いつもそばに居てくれて支えてくれてありがとうね。』
サ「杏…。」
いつになく真剣なその瞳にサクラはじっ、と見つめ返す。
『覚悟はもうとっくに決めた。
心残りも、これでもうない。』
グッ、と拳を握り、目を閉じてゆっくりと息を吐く。
『これから、もっと無茶を言うわ。
きっと大変だと思う。……手伝ってくれる??』
サ「…ソンナノ当タリ前ジャナイ。
何デモ言イナサイヨ。私ハ桜柱ノ鎹鴉ヨ。」
『ありがとう、サクラ。頼もしいわ。』
杏はそう言いながらサクラの頭を撫でる。
『そろそろ出ましょうか。
そんなに時間もないわ。』
お風呂から出て、髪の水分をとり椿油を塗りこむ。
黒の詰襟は羽織らず、スカートに白のブラウス、ベルトをつける。