第26章 人の想い
──ガラッ
祈「おかえりなさいませ。」
音「おかえりなさいませ、杏さま。」
『ただいま戻りました。』
玄関を開ければ、祈里と音羽がすぐに出迎えてくれる。
杏は先刻のことが知られることがないよう、いつも通りに振る舞おうとしていたが、祈里があら?と首を傾げる。
祈「杏さま、お顔が少し赤いようですがどうかされましたか??」
『えっ、そ、そうですか??』
音「本当だ。少し赤いですね。」
祈里の言葉を杏は否定するが、音羽も顔を覗き込んでくる。
『本当に、大丈夫ですから。』
不思議そうな顔をしている2人をなんとか抑えて家の中へと入る。
居間に向かう途中で祈里は杏に声をかける。
祈「食事はもうできてますが、今日も先に湯浴みされますか??」
『…そうですね。先に湯浴みから済ませちゃいます。今日はお2人も一緒に食べましょう。』
音「わかりました。準備しておきます。」
『お願いします。』
杏はお風呂へ、祈里と音羽は台所へと足を向ける。
──チャプン
湯船に浸かり、ふぅーと息を吐く。
『ねぇ、サクラ。』
サ「ナァニ??」