第5章 花屋敷
その中から若草色を基調とした着物に着替える。
着物に合う黄色の帯を締め、帯飾りをつける。
『あ、化粧…はいいか。
出かけるわけではないし…。』
帯飾りをつけたところで化粧をしてないことに気づく。
不死川が屋敷に来るため、杏は外には出ない。
せめて、と思いながら唇に紅を差す。
『これで支度は終わりね。サクラ、どうかしら。』
庭で朝日を浴びていたサクラを呼び、おかしなところがないか尋ねる。
サ「大丈夫ヨ!!トテモ素敵ダワ!!」
トコトコと歩いてくるサクラ。
バサッと飛び、杏の肩にとまる。
サ「オ腹ガスイタワ!!」
『そうね。そろそろ朝餉をいただきましょう。』
肩からご飯をせがむサクラを見て優しく微笑みながら台所へ向かう杏。
──トントン
心地良い音が台所に響く。
着物が汚れないようエプロンを身につけた杏が料理をしている。
御膳にご飯、みそ汁、卵焼き、生姜の佃煮を並べ、サクラ用に胡桃やトウモロコシをいれたお皿を用意する。
御膳とサクラ用のお皿を持ち、居間へ向かう。
居間に入るとき、庭の桜の木に止まっていたサクラを呼ぶ。