第25章 伝える想い
杏はいつも通りの笑顔を浮かべる。
不「!!」
先刻まで固かった杏の表情がいつも通りに戻ったことに不死川も気づく。
『不死川さん。』
不「なんだァ??」
『私、貴方のことが好きです。』
不「……………………ぁ??」
不死川としてはまったく予想していなかった言葉だったのか、目を見開いて固まってしまう。
そんな不死川を見て杏は柔らかく微笑む。
『大丈夫ですよ。今返事が欲しいなんて言いませんから。もうすぐ始まる総力戦の後にでも聞かせてください。』
そう言って杏はスッ、と不死川へと近づき、背伸びをして耳元で囁いた。
『ただ…私の想いを忘れないで(ボソッ』
不「っ、」
杏の予想外の行動の連続で不死川は頬を紅潮させて固まる。
『では、また後で。』
そう言って杏は手を振り、屋敷の中へと消えていった。
取り残された不死川はその場でしゃがみ込み、小さく呟いた。
不「…………まじかァ………。」
しばらくそこで考え込んでいたが、立ち上がる。
不「一旦帰るかァ……。」
夜の警備の準備のためにもと、一度自身の屋敷へと戻っていった。