第25章 伝える想い
その瞬間。
──バキッ
今まで黙っていた不死川が思い切り炭治郎を殴り飛ばした。
杏(やっちゃった…。
いや、我慢した方かしら??)
殴られた勢いで気を失ってしまった炭治郎を見ながら小さくため息をこぼした。
冨岡は無言のまま自身の羽織を脱いで畳み、炭治郎の頭の下へ羽織を敷いて枕にした。
不死川はそんな冨岡の行動は気にも止めず、炭治郎が出てきた草陰に視線を向ける。
不「音白ォ。お前も出てこい。」
不死川の呼びかけに杏はふぅ、と息を吐きながら立ち上がる。
『あら、気づいてらしたんですか??』
ニコッ、と笑顔を向けると、イライラした様子の不死川が気絶している炭治郎を睨みつける。
不「ソイツと話してんのが聞こえてんだよ。
あとまったく抑えきれてねェ笑い声もなァ。」
『抑えきれてなかったですか??
結構頑張ったんですけど…。』
わざとらしく困ったような表情を浮かべる杏。
不「テメェまで揶揄う気かァ。」
『さぁ??どうでしょう。』
ビキッ、と青筋を立てる不死川に杏はふふっ、と笑う。
そんな感じでいつものように2人だけの会話になっていたところに、鈍感で天然の水の呼吸の兄弟弟子、兄弟子の方が口を開いた。