第25章 伝える想い
気配を消したまま近づき、肩にトントンと触れるとその人物は弾かれたようにこちらを振り向く。
杏は驚いて声を出そうとしたその人物──炭治郎の口を手で押さえる。
『しー、ですよ??気づかれちゃいますからね。』
杏が口に人差し指をあてて優しく微笑みながら小さな声でそう伝えると、炭治郎はコクコク、と頷く。
炭「杏さん、どうしてここに…??」
『ちょっと心配なことがありまして…。
あ、始まるみたいですよ。』
ヒソヒソと小声で話しながら炭治郎の視線を庭の方へと向けさせる。
──ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
炭治郎が杏に促されて視線を向けた先には不死川と冨岡が木刀を持って見合っていた。
その殺気と気迫に炭治郎が目を見張っていると、不死川が動き出した。
─ 風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ ─
不死川は目に追えぬほどの速さで間合いを詰めて容赦なく攻撃を仕掛ける。
──ビシッ
冨岡はその攻撃を受け止めたが、その衝撃で冨岡の木刀にヒビが入った。
炭(はっ…、速っ!!でも見える!!
動きを追えるぞ…!!)
あまりの攻撃の速さに驚く炭治郎だったが、柱2人の攻防を目で追えていることに気づいた。