第25章 伝える想い
──カタン
『と、こんな感じですが…どうです??
覚えられそうですか??』
祈「な…なんとか…。」
音「絡繰って難しいんですね…。」
普段使わない部分の脳を使っているからか祈里も音羽も疲れて座り込んでいた。
『ふふっ、絡繰は1つでも順番を間違えたら開きませんからね。』
座り込む2人に視線を合わせるように杏も膝を折る。
ふと窓から外を見ると太陽が高く高く上がっていた。
『そろそろお昼時ですね。』
祈「あ、そうですね。」
杏の言葉に顔をあげて外を見た祈里が呟く。
音「そろそろ昼餉の準備しなくちゃ…。」
そう言って立ち上がる2人。
杏も2人に合わせて体勢を戻す。
『お願いしますね。あ、そうだ。』
食事の準備をお願いしたとき、あることを思い出して杏の動きがとまり、祈里と音羽はキョトンとした表情を浮かべる。
『私、昼餉とったあと冨岡さんの屋敷に行ってきますね。』
祈「水柱様のお屋敷ですか??」
『はい。』
杏は眉を下げ、困り顔で微笑む。
『実は昨夜の警備の帰りに私の柱稽古の進捗について不死川さんと話していたのですが、今日の昼過ぎから冨岡さんの屋敷で打ち合いをするそうで…。』