第24章 譲れない想い
悲「お館様のことだ。私だけではきっと説得できずに終わっていただろう。」
杏を見下ろしながらそう話す悲鳴嶼に杏は柔らかく微笑んでみせる。
『………いえ、まだですよ。お館様を救うためには作戦の成功が大事です。悲鳴嶼さんにも大変な役割をしていただくのですから。』
悲「…あぁ。そうだな。
やれることをやろう。」
『はい。頑張りましょう。』
杏はニコッ、と微笑む。
『では、おやすみなさい。』
悲「あぁ。おやすみ。」
杏は帰っていく悲鳴嶼に軽く手を振り、屋敷へと戻った。
──ガラッ
『ただいま帰りました。』
祈「杏さま。おかえりなさいませ。」
音「本日もお疲れ様でした、杏さま。」
すぐさま出迎えてくれる祈里と音羽。
『ありがとうございます。』
そんな2人に笑顔をみせる。
『今日はもう寝ちゃいますね。
お2人も明日に備えてはやく休んでください。』
祈「はい。おやすみなさいませ。」
音「おやすみなさいませ。」
『おやすみなさい。』
それぞれ自室に向かう2人に手を振り、杏は縁側へと足を向ける。
『ねぇ、サクラ。』