第24章 譲れない想い
おやかたさまの言葉を繰り返す。
お「君は今、自分に記憶がないことに気づいて戸惑っているだろう??」
おやかたさまの言葉にコクンと頷く。
お「そうやって戸惑っている君が音白杏なんだ。
勿論、記憶を失う前の君も音白杏。
他の誰が何と言おうとも、君は君なんだ。
音白杏は君しかいないんだよ。」
『わたしは…わたし…??』
お「そうだよ。」
頭の中でぐるぐると回っていたもの…、そして心の中のもやもやがスッ、と晴れていくのを感じる。
『私は私…。私は…おとしろあんず。
おとしろ、あんずです。
よろしく…お願いします。』
ぎこちなくではあったが、微笑んで、もう一度挨拶をした。
お「うん。よろしくね、杏。」
『はいっ、』
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