第24章 譲れない想い
悲「音白…。」
悲鳴嶼は杏に呼びかける。
悲(もう、無理だ。これだけの固い意思はどうやっても変えられない。)
しかし、杏はさらに語りかける。
『お館様…。あの日、私が目覚めた日に、お館様が私になんて声をかけて下さったか覚えていらっしゃいますか??』
お「もち、ろん…覚えて…いるよ…。」
『あれから6年が経ちました。
私はあの時のことをまだ鮮明に…、まるで昨日のことのように憶えています。』
杏の脳裏には6年前のあの日のことが蘇っていた。
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──パチ
『……………ここ、は…??』
目を開けて広がった景色を見て小さく呟く。
しかし、喉が掠れてうまく声が出ない。
ムクリ、と起き上がってみるがそれすらも難しく、上半身を起こしたときには息が切れてしまった。
周りを見渡し、周りに誰もいないことに気がつく。
(誰もいない…。………なんだろう、すごく変な感じがするけど…わかんない。)
もやもやしたものが胸に痞えているような感じがする。
そのとき、誰もいなかったはずの部屋の隅に大きな人影があることに気づいた。