第24章 譲れない想い
俯いたまま発した杏の小さな小さな言葉。
あまりに小さな声であったため、聞き取ることのできなかった悲鳴嶼は聞き返す。
産屋敷家の皆さまも聞き取れなかったようで首を傾げて杏を見つめる。
しかし、杏は俯いたまま顔を上げない。
そんな中、お館様が口を開いた。
お「杏…。君の…想いを…聞かせておくれ…。」
『…っ、』
お館様のその言葉を聞いた瞬間、杏は弾かれたように涙を浮かべた顔を上げ、咳を切ったかのように一気に叫んだ。
『嫌です!!私はそんなこと絶対に嫌です!!
お館様が…あまね様がひなき様がにちか様が死んでしまうなんて…私は絶対に嫌です!!』
シーン、と静まり返る部屋。
悲「…音白。気持ちは分かる。
だが、これがお館様のお気持ちだ。」
そんな中、悲鳴嶼は隣に座る杏の肩に手を置き、静かに、厳しい声で杏を諌める。
『っ、嫌です!!納得できません!!
私はそんなの絶対に嫌です!!
皆で生きて帰るんです!!
私たち鬼殺隊は皆、生きて帰って幸せになるんです!!これまで死んで行った者たちのためにも、私たちは幸せにならなくちゃならないんです!!
生きることを諦めたら駄目なんです!!』