第24章 譲れない想い
屋敷の外に出ると、お館様の鎹鴉が待っていた。
鴉「ここからは私がご案内致します。急いで向かいたいので宜しければひなき様とにちか様を抱いていただいても宜しいですか??」
『よろしくお願いします。
では、私がひなき様を。』
悲「私がにちか様を運ばせていただきます。」
鴉からの要望通り、それぞれひなき様とにちか様を丁寧に抱きかかえる。
鴉「参りましょう。」
その声と同時に飛び立つ鴉を杏と悲鳴嶼は出来るだけひなき様とにちか様に振動を与えないように意識しながら追いかける。
その後ろからサクラと絶佳が飛んでいる。
鴉「まもなく到着です。」
その鴉の声にサクラたちに向けていた視線を前に戻す。
『ここが…産屋敷家の本邸…。』
産屋敷家の本邸はそんなに大きな屋敷ではなかった。
いつも行っている産屋敷邸よりも一回りほど小さい。
鴉「到着です。」
その鴉の声を聞き、腕の中にいたひなき様をゆっくりと地面におろす。
ひ「ありがとうございました。」
『いえ、お役に立てて光栄です。』
丁寧に頭を下げるひなき様に杏はニコッ、と微笑む。
鴉「当主がお待ちです。参りましょう。」