第24章 譲れない想い
ーザッ
見慣れた屋敷の庭に杏が砂を踏む音が響く。
『一先ずいつもの庭に行きましょうか。』
サ「ソウネ。」
そう話し、いつも柱合会議が行われる庭へと足を進める。
庭へと通じる屋敷の角を曲がると、そこには大きな人影があった。
『っ!!…悲鳴嶼さんもいらしてたんですね。』
想定外の人物で驚きはしたが、すぐに微笑んで声をかける。
悲鳴嶼は気配を感じとっていたのか突然声をかけた杏にもとくに驚くこともなく振り返る。
悲「音白か。お前もお館様に呼ばれたのか??」
『はい。悲鳴嶼さんも??』
悲「あぁ。誰にも知らせずに、と。」
『あら、私もです。
どうやら同じことで呼ばれたみたいですね。』
ますます何の用事が気になり始めていたとき、
ーザッ
辺りに砂を踏む音が響き、杏と悲鳴嶼はそちらに視線を向ける。
ひ・に「「杏様。悲鳴嶼様。」」
そこには産屋敷家のご息女であるひなき様とにちか様が並んで立っていた。
『ひなき様、にちか様。
お久しぶりでございます。』
すぐさま杏が挨拶をすると、お2人も杏に合わせて頭を下げる。