第23章 オトメゴコロ。
甘「"誰かに盗られちゃう”…。
そうね、伊黒さんあんなに素敵なんですもの。
恋敵はいるはずだわ。
伝えなきゃきっと後悔するわね。」
『ですね。』
むん、と気合を入れる甘露寺に微笑む杏。
甘「というか、杏ちゃんだってそうなんだからね!!不死川さんに想いを寄せている女の子がいるかもしれないんだから!!」
『…やっぱりそうですよね。』
刀鍛冶の里でのサクラとの会話を思い出す。
『不死川さん、顔は怖いし、すぐ怒るから怖がられることの方が多いですけど、やっぱり柱でお強いですし、鬼から助けてもらった女の子の中に好きになる女の子がいてもおかしくないですよね…。』
真剣な顔でそう話す杏を見たしのぶと甘露寺は顔を見合わせてふふっ、と笑い合う。
し「そうですね。"顔は怖い”ですけど柱ですしね。」
甘「えぇ。"すぐ怒って怖い”けど強いものね。」
『…揶揄ってますよね??』
楽しそうに笑う2人に杏はじとーっとした視線を向ける。
し「あら、そんなことないですよ。」
甘「杏ちゃんが恋してるんだなーって嬉しくなってるだけよ。」
普段は落ち着いている年下の女の子の年相応な姿が見られて嬉しいのだろう、優しく微笑む2人。