第23章 オトメゴコロ。
し「私は憎悪の感情が悪だとは思いません。少なくとも、私はこの感情があるから今があります。
今蟲柱として闘えているのはこの感情があるからです。この感情が成すべきことへの原動力になる。
そう信じていますから。」
『しのぶさん…。』
胸元に手をやり、穏やかな表情でそう話すしのぶに杏は自身の胸元に手をやる。
『いいのでしょうか…憎んでいても…。』
し「えぇ。仇の鬼を憎むことなどこの鬼殺隊では当たり前のことです。この感情に呑まれさえしなければきっと私たちの原動力になってくれますよ。」
ニコッ、と微笑んでくれるしのぶに杏も微笑み返す。
『ありがとうございます。いつになるかはわかりませんが総力戦、頑張りましょう。』
し「はい。」
それから2人でふふっ、と笑い合っていると、カチャカチャという音が響いてきた。
甘「あら、2人とも笑ってどうしたの??
何か楽しい話してたの??」
紅茶とお茶菓子を持った甘露寺が戻ってきた。
『これからも頑張ろうという話をしていたんです。もう少しで終わるかもしれませんからね。』
杏が笑顔で答えると、甘露寺も笑顔を返す。
甘「そうね。私たちは柱だもの。
頑張らなくっちゃね。」