第22章 一触即発
祈「はい。」
音「承知いたしました。」
頷く2人にニコッ、と微笑む杏。
『では、お願いしますね。』
音「あ、杏さま。」
ヒラヒラと手を振りながらその場を離れようとした杏に音羽が慌てて声をかける。
『どうしました??』
音「お預かりしていた羽織です。」
『あ、忘れてました。ありがとうございます。』
手合わせ前に預けていた羽織の存在をすっかり忘れていた杏はあはは、と笑いを零しながら受け取る。
杏は羽織に袖を通しながらニコッ、と微笑む。
『じゃあ行きましょうか、不死川さん。』
不「あァ。」
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『どうぞ。』
椿の花が美しく咲き誇る冬の間で、杏は不死川に2つのどら焼きと抹茶を差し出す。
早速食べ始める不死川を見て、杏は味を尋ねる。
『いかがですか??』
不「…うめェ。」
『それはよかったです。』
もぐもぐと頬張る不死川を見てふふっ、と笑う杏。
『それでどうして炭治郎くんと殴り合いの喧嘩になったんですか??手を出したのは貴方からだと聞きましたが…。』
特に前置きもせずに本題に入る。