第22章 一触即発
何が怖いかというと、貼り付けた笑みを一切崩さないことだ。
いつも通り素敵な笑顔だが、その笑顔には逆らえない圧がある。
影から見ていた祈里と音羽を始めとする隊士たちは震え上がっていた。
不死川が黙りこくってしまい、杏は一歩下がって貼り付けた笑みをとる。
『…わかってますよ。大方、炭治郎くんが不死川さんの地雷を踏み抜いたんでしょう??禰豆子さんと一緒にはいなかったはずですから…玄弥くんのことですか??』
隊士たちが見ていることには気づいているので、小声で語りかける。
不「……あァ。」
小さく答えてくれた不死川の顔を見て困ったように微笑む。
『しかし、隊士同士の私闘は隊律違反です。
柱である貴方が守らなくてはならない決まりです。
私たちは隊の規範とならなくてはいけないのです。
それに、問題を起こせばお館様にご迷惑がかかります。』
不「あァ…分かってる。今回はやりすぎた。」
不死川はポリポリとバツの悪そうに頭をかく。
『わかっていらっしゃるなら結構です。
では、手合わせしましょうか。
詳しいことは後ほど、2人でお話しましょう。』
杏はパンッと手を叩き、ニコッ、と微笑んで空気を変える。