第21章 感覚強化訓練
炭治郎は隊士たちからの攻撃をひたすらに捌いていく。
音羽はその様子をじっ、と見つめていた。
音(…彼は勘がいいのかしら。あれだけしか助言しなかったのに動きが先刻までとはまるで違う。)
そのときふと、炭治郎の額を目を向けた。
音(痣が…ここに来たばかりのときより濃くなってる…。)
刀鍛冶の里のときほど濃くはないが、訓練時と考えればかなり濃くなっている。
杏に報告すべきか考えていると、突然背後から肩を叩かれ音羽は思わずビクついた。
音「わっ、…杏さま。」
『随分と集中して見てましたね。
何かありましたか??』
肩を叩いたのが自身の師範であったことにこっそり胸をなでおろしながら口を開く。
音「先程、ほんの少しだけ助言したのですが、それから動きがまるで違っていて…勘がいいのかなぁ、と考えておりました。」
『そうですねぇ…。』
音羽の報告を聞いて杏が思い出すのは炭治郎に“全集中常中”について教えたときのことだ。
杏(そういえばあのときも…きよちゃんたちに具体的な話をしてあげるようにお願いはしたけどほぼ1人で習得したようなものだったわね。)