第21章 感覚強化訓練
脅威的な早さに炭治郎は目を白黒させる。
炭「そんなに早く終わるものなんですね…。」
炭治郎が感嘆の声を漏らすと音羽は少し苦い顔をする。
音「いえ…その分かなり絞られました。どの柱の方も厳しかったですし、ここでの稽古の相手は一般隊士ではなく杏さまでしたから。」
炭「え、杏さんが??」
『はい。裏山での鬼ごっこは杏さまが鬼でひたすらに捕まり、私たちが追えばひたすらに捕まらない…。道場では聴覚を閉ざした私たちに気配を完全に消した杏さまが襲いかかってきました。私たち2人を同時に相手していたにも関わらず、手も足も出ませんでしたよ。』
思い出したのか、遠い目をしてふっ、と自傷気味に笑う音羽。
炭「それは……。」
流石の炭治郎もうわぁ…、と声を漏らす。
音「あ、すみません。話逸れてましたね。
今竈門さんが閉ざされている感覚は聴覚と嗅覚です。視覚を鍛える訓練ではありますが、他の感覚を使っても勿論いいんですよ。」
炭「他の感覚…となると、五感だから…味覚と、触覚…??」
音「はい。味覚は戦闘には使えませんが触覚…。
肌で感じる空気の振動、足で感じる床の振動、自分を狙う者からの殺気、それらを活用して彼らがどこにいるのか常に把握するんです。」