第21章 感覚強化訓練
『そう…。』
山の方を眺めて小さく呟く杏。
『まぁ頑張っていただきましょう。
私は道場に戻りますね。ここはお願いします。』
祈「はい。お任せください。」
道場へと戻る杏に軽く頭を下げる祈里。
祈「さて、竈門さんはあと半刻ですね。」
そう言って祈里は山を見上げた。
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炭(なんでみんな目隠ししてるのにこっちをまっすぐ追えるんだ!?)
あれから2人の鬼に追われ、かなり疲れ切っている炭治郎。
炭(本当に耳だけで追ってきてる感じだ…。
ここにいる隊士たちは善逸みたいになってるってことか??)
炭治郎は木陰に隠れ、頭を整理する。
炭(たとえこのまま一刻逃げ切れたとしても今のままじゃ目隠しで捕まえるのは俺にはできない。
聴覚を研ぎ澄まさなければ…。)
ゆっくり息を吐き、耳に神経を集中させる。
炭(というか…杏さんもう少しヒントください…。)
炭治郎はこのように嘆いているが、何度も捕まる者には麓にいる祈里からヒントがもらえる。
この山に入った隊士たちは大抵5回以上は捕まる為、皆はヒントを元に鬼ごっこをしている。